はじめに

「外因死」聞きなれないことばかもしれません。

 人には病死の他にも、さまざまな死があります。病死を「内因死」と呼ぶのに対し、外因の関与した死は「外因死」と呼ばれます。

日本法医学会は1994年に「異状死ガイドライン」をまとめ、「確実に診断された内因性疾患で死亡したことが明らかである死体以外の全ての死体」を異状死と定義しました。この異状死には、全ての外因死と、内因死であっても死因の不明なもの、外因か内因か不明のものが含まれます。

 医師法第21条は「医師は、死体又は妊娠4月以上の死産児を検案して異状があると認めたときは、24時間以内に所轄警察署に届けなければならない」と規定しています。    

 外因死は必ず警察署に届けられ、医師による検案、場合によっては解剖を受けなければなりません。

 日本国内の死因の10位以内に、外因死は、2つ入っています。6位の不慮の事故、8位の自殺です(2014年)。ところが「外因死」を対象とした対策は、自殺対策基本法に基づく自殺対策、労働災害対策以外には、ほとんど行われてきませんでした。

 自殺や不慮の事故も含めて、外因死は防げる死です。ただし、適切に防ぐには、その身体的、精神的、社会的な背景を明らかにすることがどうしても必要です。

 それぞれの死がなぜ起きたのか、その現実が起きていた現場でまず、十分に情報を取り、それを科学的な知見をもとに理解することは、予防のためにとても大きな意味をもちます。その客観的な事実を元に政策を組み立てることが必須です。また、有効な遺族へのケアも、事実を基本に考えていく必要があります。

 しかし現在のところ、どのようにすれば、外因死の実態にアクセスできるのか明確にはなっていません。外因死の検案システムは自治体ごとに異なり、国レベルでの把握は、必ずしも十分ではありません。

 監察医務機関をもつ自治体は、東京、神戸など限られます。多くの自治体は個別に外因死に対応しているのが実情です。

 国レベルで、適切に正確な情報を集める方法を確立すること。また、その情報を使って外因死の現状をできるだけ事実に即して解明することは、信頼性、公平性、客観性、中立性、透明性が担保された公的な力となります。

 日本は、OECD諸国のなかでも、最も早く少子高齢化が進行中です。家族の姿が変化し、格差社会が膨らむこの国で、適切な福祉政策を行うためにも不可欠なことです。

 そうした研究が今どのように行われているか。その進捗状況、その周辺の知識などをお伝えするため、ホームページを開設しました。